現代の医療および健康管理には、多くの選択肢があり、どこが自分に適しているのか迷くことが多くあると思います。今回は整形外科と整骨院（接骨院）と整体院の違いについて説明します。

整形外科の特徴

整形外科医がレントゲンやＭＲＩなどの画像、各種検査から診断を行い、必要に応じてリハビリが処方され、医師の指示のもとでリハビリが行われます。
リハビリは、電気や温熱、牽引などの物理療法（消炎鎮痛）。理学療法士や作業療法士が具体的なリハビリプランを立てて実施される運動器リハビリテーションがあります。

多職種連携

整形外科医、看護師、理学療法士、作業療法士、柔道整復師など、複数の医療専門職が連携して患者様をサポートします。レントゲンやＭＲＩなどの画像診断や、お薬の処方、注射などは整形外科でしか行えません。

リハビリについては理学療法士や作業療法士、柔道整復師などが在籍せず、電気や温熱などの物理療法（消炎鎮痛）のみをリハビリとして行っている整形外科も数多くあります。

保険適用

健康保険が適用されるため、費用面での負担が軽減されますが、整形外科のリハビリには少々細かいルールがあります。

運動器リハビリテーションを行うには施設基準というものがあり、リハビリ室の広さや、在籍するリハビリスタッフの人数などの条件を満たす必要があります。

整形外科で行うリハビリには健康保険制度に基づき、医師から最初に診断を受けた日から150日以内という日数制限があります。当院にも「期限があるからリハビリを終了させられてしまった。」「整形では５か月しかリハビリできないって言われた。」という利用者様が来院されますが、それはこのルールがあるためです。

また、運動器リハビリテーションは１単位２０分と決められていて、一人のスタッフは一日最大２４単位、一週間最大１０８単位までという細かい決まりがあります。

１５０日を過ぎた場合、保険の効かない自由（自費）診療でのリハビリは可能ですが、対応している整形外科と、していない整形外科があります。

基本的には一連の治療で保険診療と自由診療を受けることは混合診療となり健康保険法で禁じられています。混合診療となった場合は全額自己負担となります。

整骨院・接骨院の特徴

「整骨院と接骨院と整体院は何が違うの？」とご質問を受けることがありますが、整骨院と接骨院は名称の違いだけで、両施設とも柔道整復師が施術を行う施設です。厳密には医療機関ではありませんが、特定の範囲内で医療的役割を担う施設です。整体院との違いは後述します。

外傷の治療

骨折・脱臼・捻挫・打撲・挫傷などの外傷の急性期に対する施術が主な業務です。手技による整復・固定・後療法（リハビリテーション）が含まれます。

後療法（リハビリテーション）には外傷後の機能回復を目的とした、筋力トレーニングや関節可動域の改善、痛みの緩和を目的としたものが含まれます。

骨折や脱臼など重篤な外傷である場合は、応急処置を除き、整形外科などの医療機関と連携して適切な治療を受けられるようにします。

保険適用

急性期の外傷に対する施術は健康保険が適用されるため、患者様の負担が軽減されます。
腰痛や肩こりなど慢性的な症状や予防的な施術は保険適用外となります。

整体院の特徴

整体院は整体師が施術を行う施設です。整体師は国家資格ではなく、様々な民間資格を持っていることが多いですが、必須ではないため、施術者の知識や技術は個々に大きくことなる場合があります。
しかし、実際には柔道整復師や理学療法士の資格を取得している施術家が整体院を営んでいることも多いです。

幅広い適応と施術方法

身体全体のバランスを整えることを目的としており、施術内容は姿勢改善、骨盤矯正、関節調整、筋膜リリース、カイロプラクティック、筋肉のバランス調整など院ごとに大きく異なります。

最新の機器やトレーニング機器を導入している院もあれば、当院のようにオーダーメイドインソールを作製する院もあります。

保険適用

整体は保険適用外であるため、自費診療となります。費用面での負担は大きくなる場合がありますが、その分、保険適用の制約がないため、整形外科のような日数制限や、時間の制限、整骨院のような適用となる症状の制限などはありません。施術の自由度が高く、対応できる症状の幅が広い、患者様への個別対応とオーダーメイドの施術プランが提供できるなどの大きなメリットがあります。

まとめ

整形外科、整骨院、整体院は、それぞれ異なるアプローチで患者様の健康をサポートしています。

整形外科では保険適用で、専門的な設備と多職種連携が特徴です。

整骨院は、柔道整復師が主に急性外傷に対する施術を行い、保険が適用される場合も多いです。

整体院は身体全体のバランスを整えることを目的とし、保険適用外となりますが、施術の自由度が高く、対応できる症状が幅広いのが特徴です。

ご自身の症状やニーズに合わせて、最適な治療法を選ぶことが重要です。各施設の特徴と違いを考慮し、ご自身の健康管理に役立ててください。